五話(レイ)

属性戦争―――特殊な属性を持つ2人の人間をめぐる戦い……すべてを飲み込む力『無』(クリア)とすべてをねじ伏せる力『王』(バビロン)―――
彼らを支配するものは、世界をも制すことが出来ると言い伝えられていた―――
―――そして―――人々は奪い合った―――殺し合って殺し合って殺し合って―――それが無限に続いた―――
しかし、戦いが100回を越えた頃から、各国家の被害も甚大になり―――そして、ルールを決めた―――“「各国から騎士を数人選びだし、戦わせて、決着をつけよう」”と―――
けれども、そのルールもルシファーの策略でさらに戦いは悪化することになる―――
―――力を制御するものに永遠の力と命、そして―――願うものの願いをかなえる力を得られると言う剣―――“「大いなる力を持つ剣」”―――を作り出し、人々はそれを手に入れるため、さらに争いを始めた―――ルールを無視して―――


そして、139回目の戦いでそれは起こった―――8人の騎士によって―――
『ビーズギルガス』(光)『マリルーチェ』(血)『セフィアイン』(闇)『ウィリアフォリス』(土)『レイシ―リア』(海)『ミシェルハオキド』(空)『シャゼルウィン』(風)『ビルクラウド』(鋼)―――のちに英雄と呼ばれた八騎士―――
彼らは、戦いに勝利し、剣を手に入れて―――封印した―――小さい犠牲を払って―――



「ナオヤ…」
「ん?」
直哉はソファに座って、ルーチェが剣術の練習をしてるところをジッと眺めていた
「友達になれば何をすれば良いのですか?」
「ん…」
顔色一つ変えず、一生懸命練習しながらルーチェは直哉に聞く
「…何をすれば、と聞かれると…答えにくいけど、普通に女の子らしく話てくれればそれで十分だと思うけど…」
「……」
ルーチェは不思議な顔をして練習するのを止めた
「…別にわからなくても大丈夫だよ…自然にしていれば…」
「そう…なのですか?」
「そうだよ…」
直哉は眼をこすりながらあくびをする
「(なんだろう…不思議と眠い…)」
そう思いながら、さっきフランソワたちに言われたことを思い出した
「いい、主と使い魔はお互いの信頼関係でどうにでも強くなるの!だから、あなたは2人でルーチェさんと信頼関係をきずいてなさい!分かった!」
「はい!」
などと、超早口で言われて理解するのに10分ほどかかり、現在2人きりで部屋にいる訳で……
「(まったく…どうすればいいんだよ…)」
「ナオヤ?」
「(そもそも、何で僕はここにいるんだ…本当だったら何時も通り家にいて…)」
「ナオヤ?」
「はい」
ルーチェに声かけられてハット我に返ると、目の前にルーチェの顔が…
「どこか具合でも悪いのですか?」
本気で心配しているルーチェの純粋な目と汗をかいているのいい匂いのする彼女の髪と小さな彼女の口を間近で見て、直哉は心をドキドキさせた
「だ、大丈夫…少し眠くなっただけだから」
直哉はあわてて目をそらす
「顔が赤いですよ…熱でもあるのでは?」
直哉の気も知らずルーチェは額に手を当てて熱を確認する
「…熱は…ないですね…」
「……」
この心臓の音が聞こえるのではないかと思うぐらい心音は高鳴る
ルーチェは立ち上がると鎧を脱ぎ、伸びをすると扉のノブに手をかける
「どこ行くの?」
「ちょっと、お水を貰いに汗をかいたので喉が渇いてしまって」
「あ、それなら僕が行ってくるよ、ちょうど他に用事があるし、少し待っててよ」
「いいえ、わざわざナオヤが行く事など…」
「いいよ、ほら待ってて」
直哉はルーチェを座らせると部屋を出た



「…と言う訳で…どうすればいいのでしょうか?」
直哉はフランソワとクラウドに助けを求めに行った
「どうすればってねー……適当に話せば?」
「それが出来ないから、相談に来ている訳ですよ」
フランソワはあきれた目であくびをする
「頼みますから助けてください」
「さーてと…仕事仕事…」
クラウドはメガネをかけて何かをせっせと書き始める
「…どうせ、明日は遺跡調査に行くんだから、2人だけ行ってくれば?」
「それは無理!行き方とか分かんないし、それに……」
直哉は少し赤くなる
「あれー?そ、れ、に?」
フランソワはいたずらっぽく笑みを浮かべる
「そ、そ、それに……」
「なによ、言ってみなさいよ」
「……」
さらに顔が赤くなる
「少年?」
「はい?」
クラウドも笑みをこぼしながら
「まあ、英雄さんに『ほ』の字と言うことかな?」
その瞬間、直哉の視界がブラックアウトした
「あーあ、気絶しちゃった…だらしない…ってか、クラウドなんか古臭い気がする」
「あー、すまん…自分でも恥ずかしくなった…少年?おーい、起きろ!」
クラウドに叩かれ、フランソワに蹴られて、直哉は速攻で立ち直った
「もう、頼みませんよ……」
直哉は、とっとと立ち上がり踵を返して部屋を出ようとしたが…
「あー、あんなこと言った後ですいませんが…お水、貰えませんか?」
「しょーがないわね……その辺に、メイドがいるから頼んで」
「ありがとう、フランソワ」
「べ、別に礼なんか、いらないわよ…は、早く行け!」
直哉はさっさと部屋をあとにした



「持ってきたよ、お水…」
直哉は部屋に戻ると、座っているはずのルーチェが……
「寝てるの……かな……」
ソファに横になっているルーチェのそばまで行き、机に持ってきたお水を置く
「ルーチェ?」
直哉はルーチェの顔を覗き込む…彼女は小さく寝息をたてて寝ていた
すると、ふと頭に良からぬ事が過った、悪の自分がいた…そして、それを否定する、善の自分がいた
「(だめだ…それは……で、でもぉ!こんな無防備な!)」などと思っていると
「う…うぅ…」とうまい具合にルーチェが上を向く
「(こ、これは……)」
直哉は頭を抱えて悩んだ…悩んだ末…
「(もう、失望されてもいい!今この気を逃したら…一生巡ってこない気が…)」
悩んだ末、ルーチェの顔に自分の顔を……近づける…
「(あと、数十センチ……数センチ…)」
しかし、その瞬間…
「う…ん…な、ナオヤ?」
「(やばい!)」
「なにをしているのですか?」
直哉はあわてて、その場を離れる
「い、いや……目にゴミがついてたからさ…取ろうかと…」
とっさにでたらめの言い訳をする
「それは、わざわざありがとう、ナオヤ」
ルーチェの純粋過ぎる、目に打たれて心が痛む直哉
「べ、別に、お礼を言われるほどのことじゃ…ないよ……それより、水貰ってきたよ」
直哉は誤魔化すかのように、コップに水を注ぐ
「ありがとう、ナオヤ」
ルーチェは勢いよく水を飲み干す
「ナオヤも飲みますか?」
自分が飲んだ、コップをそのまま差し出す
「え…い、いやいいよ…」
ある意味、純粋なルーチェにさらに心が痛む直哉であった



「そうだ…明日、遺跡の調査に行くんだけど、ルーチェも一緒に来てくれないかな?」
「…答えるまでもありません…私はナオヤの使い魔…ナオヤのご命令とあれば、どこへでも行きます」
「…そ、そう…ありがとう、ルーチェ」
「いいえ、礼を言われるほどのことは…」
「さーてと、明日は疲れそうだし…寝るかー」
直哉は立ち上がり、伸びをして、歩き出す
「ナオヤ、おやすみなさい」
「おやすみ、ルーチェも早く寝なよ?」
「はい、私も、お風呂に入ってから、寝ます…それでは…」
そう言いながら、部屋を出ていくルーチェ
そして、また良からぬ事を考える直哉……直哉は「これが思春期か…」などと口に出して、自分で恥ずかしくなっていた


  • 最終更新:2010-07-10 00:04:34

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